1980年代のM&Aブームとは~JDPアセットマネジメント株式会社の投資用語集
「1980年代のM&Aブーム」
M&A(Merger and Acquisition)とは、企業の合併・買収の略である。
米産業界の再編を促したが、マネーゲームの過熱化、目先の株価優先の経営姿勢などの弊害も指摘されている。
1980年代に入って、米国ではM&Aの件数、金額ともに急増しており、空前のM&Aブームとなりました。
1980年代のブームは、巨大資本による産業の独占化が進んだ第1次(19世紀末~20世紀初頭)、水平的統合(同業他社の買収)が中心だった第2次(1920年代後半)、異業種合併でコングロマリットを多数生んだ第3次(1960年代)に次ぐ第4次のブームでした。
この背景には、独占禁止緩和政策等のディレギュレーションの進展や、ジャンク・ボンドなどの高利で投資家の人気を集めやすい資金調達手段が発達したことなどがありますが、米国産業全体の潮流となっているリストラクチャリング(経営資産の再編成)の進展が最大のインセンティブとなりました。
急激な経済・産業の変化に対応してリストラを推進する上で、短期間で技術の獲得、生産ラインの増強、市場の拡大等をもたらすM&Aが、その有力手段として盛んに用いられているのです。
実際の内容も単なる規模の拡大ではなく、既存の得意分野の強化をねらったものが多かったとされます。
ただし、1987年ごろから件数は減少しました。株高で買収コストが割高になったことや、税制改正でキャピタル・ゲイン課税が強化されたこともありますが、その根底には再編が一段落し、めぼしい被買収企業が少なくなってきたことがあります。
また、M&Aがマネーゲームを過熱させ、企業の競争力を弱めているという非難の声も出てきています。特に敵対的TOBを未然に防止するため、(1)高収益事業を売却して企業の価値を低める、(2)自社株の買い戻しで株価を上げる、(3)LBOで非公開会社になる等の方策がとられていますが、これが設備投資の減少、負債の増加を生んでいるというのです。
経営戦略も目先の株価を優先する短期的なものになりがちで、連邦政府や州政府で、企業買収を規制する動きが活発化しました。