今回は、大和ハウス工業を紹介します。住宅メーカーとして国内最大手の巨大企業です。俳優・役所公司を使ったCMでも有名ですね。
この大和ハウスで、十数年にわたってトップに君臨している大物経営者がいます。樋口武男さんです。2001年に大和ハウスの7代目の社長に就任し、79歳になった現在もCEO(最高経営責任者)と会長を兼務しています。この樋口さんが、動画サイト「賢者グローバル」で紹介されていました。
賢者グローバルの動画によると、樋口さんは25歳で大和ハウスに中途入社し、トップにのぼりつめたサラリーマン社長です。大和ハウス工業は実力主義が濃く、モーレツに働く人が多い会社として、業界では知られているようですが、実際、樋口武男さんも「不夜城」「モーレツ会社」と呼ばれた社風に魅力を感じ、入社したそうです。
大学を出たあと新卒で入った鉄鋼商社がとても安定している会社で、「こんなぬるま湯の中で楽をしていいのか」という疑問が生まれ、「しごいてもらえる会社」として、大和ハウスに転職した、とのことです。
そんな熱い社風の中にあっても、樋口さんはひときわ輝く働きぶりを見せ、みるみるうちに頭角をあらわしていきます。36歳の若さで山口支店長に就任。その活躍が創業者石橋信夫氏の目にとまります。そして、石橋信夫氏から直に厳しい指導を受け、「帝王学」を身に着けてたそうです。
樋口さんは、子供のころから事業家になることを夢見ていたとのこと。大和ハウスに入社したときも「30歳で独立する」という計画だったといいます。ところが、会社で次から次へと責任の重い仕事を任せられ、「独立を準備する余裕なんかない」という日々が続きます。最終的には独立はしなかったものの、1兆円規模の上場企業の経営をあずかるという形になりました。
樋口さんが社長に就任したころは、大和ハウス工業の年間売上高は1兆2000億円。これが現在は3兆7000円で、なんと3倍になっています。まさに中興の祖といえるでしょう。
モットーは「凡事徹底」。電話応対などの日常の細かい業務を軽視せずに、一つ一つ丁寧に心をこめて行うことが、大きな目標達成につながるという考えです。また、入社してから役員になるまで徹底した現場主義を貫き、自分の目で実際に住宅・土地などの物件を見て、売買を判断してきたといいます。スピードを重視し、寝る間を惜しまず何ごともすぐに行動する。その繰り返しで、実績をつみあげていったのですね。
樋口氏の発言や生き方から学ぶことはたくさんありますが、ラクな環境に安住せず、自ら厳しい環境に身を投げる姿勢は、とりわけ見習いたいですね。この姿勢があれば、大企業の経営者であろうと、起業家であろうと、成功に近づけるということだと思います。
※起業のヒント集は、KENJA-GLOBAL(賢者tv)など有力メディアの経営者インタビューから、起業成功の秘訣を読み取り、動画としてシェアする試みです。姉妹サイト(「賢者tvのメッセージから学ぶ」)と共に不定期に発信しています。