2005年ソフトバンクとイーアクセスの携帯参入でFMC実現か-島田雄貴ITジャーナル

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ソフトバンクとイー・アクセスの携帯電話参入でFMC実現か-島田雄貴ITジャーナル

IT業界・通信業界トピックス

【2005年6月26日】

家庭内で割安な固定電話を使うときも、外出時に携帯電話をかけるときも、同じ一台の電話機でOK。そんなサービスを英電話会社最大手のブリティッシュテレコム(BT)が2005年7月から世界に先駆けて英国内で始める。「FMC」と呼ぶサービスで、日本の電話会社による提供も現実味を帯びている。



■日本でも現実味

日本ではBTと同様のサービスは今のところない。

ただし、FMCサービスに発展する芽は随所にみられる。

携帯電話とインターネットを含む固定通信の両サービスを一社で提供しているKDDI(東京都千代田区)は、KDDIの携帯と固定通信サービスを一括で利用すれば料金を割り引くほか、各サービスの請求書を一つにして送付するサービスを2005年5月から提供し始めた。

NTTドコモは、企業向けに無線LAN(構内情報通信網)機能を搭載した携帯電話端末を発売した。無線LANを使って社内では通話料無料の内線電話、社外では携帯電話として利用可能だ。

さらにKDDIは携帯電話と固定電話のすべてのネットワークをインターネット技術を用いた効率的なものとし、固定、携帯の通信手段を問わず、切れ目のないブロードバンドサービスの提供を将来的に可能にする計画。NTTもFMC実現へ向けグループ内の調整を進める専門部署を設置した。

日本でも固定、携帯を意識せずに使えるようになる日は確実に近づいている。


■普及へ鍵握る新規参入組

FMC実現が声高に叫ばれるのは、携帯電話事業への新規参入の実現が2006年に迫っているからだ。これまで3社で寡占していた携帯電話市場に、ソフトバンクとイー・アクセスの参入が見込まれている。両社の計画するサービスに共通するのは低料金での高速データ通信サービスと固定通信を融合したFMCサービスだ。

両社とも、ADSL(非対称デジタル加入者線)によるブロードバンド回線提供事業者大手。ソフトバンクは日本テレコムを買収し固定電話サービスにも乗り出している。新参の両社が携帯市場で勝負するには、こうした既存サービスとの連携が必要。両社の新規参入にあおられる形で、NTTやKDDIが一気にFMCサービス提供へとなだれ込む可能性は大いにありそうだ。


■国内電話各社 提供にはハードルも

「FMCは何が何でもやる」(中村維夫NTTドコモ社長)

「FMCで世帯まるごとKDDI戦略を展開する」(山本正博KDDI副社長)

日本の電話会社各社のFMC実現へ向けた鼻息は荒い。それにしても、技術力の高い日本の電話会社にとってBTのようなサービスは今すぐにでもできるはず。なぜ始まらないのか。それには理由がある。

NTTは、NTT法で東西地域会社の事業範囲に制限があり、固定通信と携帯を融合したサービスを提供するにはハードルがある。また、固定電話、携帯電話とも圧倒的な市場シェアを持つNTTがFMCを提供するとなれば独占禁止法に抵触する可能性も否定できない。他の電話会社もNTTがさらに力を持つことになれば黙っていないだろう。

KDDIとしても、現状で固定、携帯ともに利益を上げており、ライバルのNTTがすぐには動けないことがわかっている以上、通信料金の値下げにつながるFMCをあせって始める必要はない。


■英国で先行導入へ

BTが「BTフュージョン」と名づけたこのサービスは、ユーザーに携帯電話端末と、自宅に設置して電話やADSL(非対称デジタル加入者線)によるブロードバンド(高速大容量)通信ができる宅内機器を無償で提供。家の中では近距離の無線通信手段である「ブルートゥース」で携帯端末と宅内機器を結んで固定電話回線で電話をかけられる。

そして、通話中の端末をそのまま外に持ち出しても通話は途切れず、携帯電話のネットワークに自動的に切り替わる。コードレス電話の子機を外に持ち出して通話する感覚だ。携帯の通信網は英ボーダフォンから借り、BTが自社の携帯電話サービスとして提供する。

自宅のほか複数の場所に宅内機器を設置でき、外からその機器のある場所に移動すれば、再び固定電話回線に切り替わる。

料金は220分の携帯電話通話料とADSL回線(通信速度は最大毎秒1メガビット)利用料など込みで月額約8600円。固定電話の通話料は別途かかり、英国内の固定電話にかける場合、平日昼間1分約6円だ。もちろん固定電話、携帯電話、ブロードバンド料金はすべて一括で請求される。

従来携帯電話端末が1台あれば、家の中でも外でも電話をかけることはできる。新サービスの特徴は固定電話の回線を使うことで、通話料金を大幅に低減できる点だ。BTとしてはブロードバンド加入を促進することで収入増も見込める。


■FMCとは

固定通信(Fixed)と携帯電話(Mobile)を融合(Convergence)したサービスのこと。このうちBTが始める「BTフュージョン」のように、一つの電話機で家の中でも外でも使えるサービスを「ワンフォン」と呼ぶ場合もある。端末側だけでなく、事業者の固定通信と携帯電話のネットワークそのものを統合して効率化し、端末の形態を選ばず、しかも端末間で切れ目のないデータ通信や音声通話ができるサービスが究極の姿となる。



http://8bitnews.asia/wp/?p=12330

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