ソフトバンクやイー・アクセスが計画中のネット電話で「電話はタダ」時代へ~島田雄貴ITジャーナル
IT業界・通信業界トピックス
【2002年1月17日】
ソフトバンクグループやイー・アクセス(東京都港区)もADSL回線を活用した電話事業に乗り出す。
イー・アクセスが計画しているネット電話は、米マイクロソフトの最新OS(基本ソフト)「ウィンドウズXP」に標準装備された「ウィンドウズ・メッセンジャー」を利用する。
利用者は、ウィンドウズ・メッセンジャーを搭載したパソコンから相手先の電話番号をダイヤルすれば、一般加入電話への通話が可能。イー・アクセスのADSL利用者だけでなく、他社のユーザーも利用できる。
料金は、月額基本料が350-400円、通話料は国内3分10-15円程度になる見込みだ。
セキュリティー対策などでシステムチェックに時間がかかっているため、サービス開始は当初予定の2001年11月よりも遅れているが、イー・アクセスでは「早ければ1月下旬にもサービスインにこぎつけたい」(小畑至弘取締役)考えだ。
すでに電話は巨大な交換機設備を保有する大手通信事業者だけが提供できるサービスではなくなった。
ADSLや光ファイバーによるブロードバンド化に加え、交換機に代わる高性能IPサーバーやVoIPソフトの投入で、ネットワークに音声を乗せる環境が激変しつつ拡大。ネット電話は従量制課金や基本料金など電電公社時代に形成された電話事業特有の“秩序”を崩壊させつつある。
「電話はタダ」の時代が現実になってきた。公衆網を使うために品質で難点があるといわれるインターネット電話だが、ブロードバンド(広帯域)環境の進展や機器、ソフトウエアの機能向上などによって、専用通信網を使うIP電話に近い品質も可能になってきた。ネット接続サービスの会員間で増えつつある無料のネット電話がじわじわと、その利用範囲を広げようとしている。
ネット接続サービスの有力アプリケーションに「電話」が浮上してきた。NTTコミュニケーションズやぷららネットワークスなど通信事業者の接続サービスで相次いでネット電話が提供されているほか、NECやニフティなど独立系の接続事業者も本格サービスに乗り出した。
ADSL(非対称デジタル加入者線)の需要増が追い風とはいえ価格競争の激化で収益が伸び悩み、新たな付加価値サービスで競争力強化を狙うためだ。
NECは2001年11月、米ダイヤルパッドのIP交換機を導入し、パソコン同士、またはパソコンから一般電話に通話できるネット電話を始めた。月額基本料200円で国内と米国、韓国向けが3分10円でかけられる。会員のパソコン間は無料だが会員以外でも利用できる。2002年内に10万人の利用者を目指す。
ニフティが2001年12月に始めたネット電話は、米ネット電話会社ゴートゥーコールの技術を導入し、基本料150円、国内と米、英など1分5円、それ以外にも200カ国に通話できる。開始1カ月で3000人が利用、今後は法人向けサービスも提供する予定だ。NEC・ニフティとも、1999年からVoIP(ボイス・オーバーIP)ソフトを無償で提供していたが、会員同士での利用に限定されていた。
今回、米ネット電話会社ゴートゥーコール社と提携して本格サービスに踏み切った背景には、接続事業の伸び悩み以外に、「常時接続が当たり前になれば、音声も重要なサービスになる」(古関義幸BIGLOBEサービス事業本部サービス開発部長)との期待があるためだ。
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