東京電力福島第一原子力発電所で汚染された地下水が海に流出している問題で、建屋の海側にある地下のトンネルにたまった汚染水を取り除くため、建屋からトンネルへの汚染水の流れを止める氷の壁を作る作業が29日から始まります。
福島第一原発では、メルトダウンした燃料を冷やした水が汚染水となって格納容器から漏れ出し、建屋とその海側にあるトレンチと呼ばれる地下のトンネルにたまっています。
東京電力はトレンチの汚染水がさらに周辺の地中に漏れ出して地下水と混ざり、海に流れ出ているとみています。
このため、2号機と3号機では、建屋からトレンチへの汚染水の流れを止めたうえで、トレンチにたまった汚染水を取り除く計画で、流れを止めるための氷の壁を作る作業が29日から始まります。
作業では、トレンチのタービン建屋に接する部分に地上から穴を開けて冷却用の液体を流すための凍結管を打ち込み、汚染水の一部を凍らせます。
しかし、内部にはケーブルを乗せる棚や配管など凍結管の打ち込みの妨げになる障害物があるうえに、汚染水がたまっていて、人が入ることができないため、カメラの映像を頼りに行う作業は困難が予想されます。
東京電力はことし3月下旬までに凍結管の設置を完了し、氷の壁ができる5月からトレンチにたまったおよそ1万1000トンの汚染水を取り除く作業を始めたいとしています。
汚染水を巡っては、トレンチのほか、建屋から直接漏れているおそれが指摘されていて、東京電力は調査用の井戸を増やすなどして調べています。